いつものようにご存知の方はご存知な話で恐縮ですが、2024年の6月からまたファンドのサービスプロバイダー側に身を戻しまして、まぁ、いつものように今日本にある組織になんか入れてもらえるはずもなく(というより、こんなやりたいようにしかやらない人間を雇いたい、という方がいたらぜひこちらまでご連絡ください)、そんなことも知らずに方向性もあうから日本展開を一緒にやろう、と言ってくれたところと文字通り一から法人を立ち上げなんかを、形式上の利害関係の調整なんかもあるので設立に関する契約周りとその登記、あと小さいながらも一応外資系になるので株主が海外に譲渡するから外為法の届出なんかは中立的に助けてくれるいつもの弁護士さんにお願いするものの、残りの、設立関係の税務とか健保・年金とか労働保険とかの手続きとかはいつも通り全部自分でやって、かつオフィス見つけて借りて、PCから何から全部自分で発注して、さらには今や外国資本の法人の銀行口座をAML/KYCが手間だからと(面倒くさがって)開けてくれる銀行がいない中、なんとか付き合ってくれそうなところを見つけて銀行口座の開設をするわ、もちろん、お家賃からお給料から買ったものの支払いまでやりつつ運転資金の管理とかもしています。まぁ、自分的には、ファンド投資のためのSPCや投資ビークルを除けば、会社を作るのは4社ですし、そこそこの企業からの事業のカーブアウトだってやっているんだから、あまり知られていませんが、この辺りだけはそこら辺にいる平均的(というか普通は人生で会社を作るなんて一回だけが当たり前)な起業家よりはこういう事務ものは得意だったりします。

で、これも割とあちこちで言うし、同じことを言う人もそこそこいると思いますが、一年を通じて法務局に登記されている会社の数は、だいたい年平均400万社ある、ということなので、ということは、累計で言えば全人口の4%程度ほどいるだろう社長経験者はあちこちにいると思うのですが、多分みんな口を揃えていうことといえば、「社長になるのは簡単で、社長で居続けるのは大変」でして、ようは、この話をする時には全体の数の話と同じくらい話すことの一つに、会社が出来て1年以内に3割の会社が倒産・清算、3-5年で半分になり、10年もつのは10%程度、らしいのです(ので、ご覧いただいているブログの運営会社、この2024年で10周年です。投げ銭機能のない、記事を読まれるだけじゃ一銭も稼げないのによく10年生き延びたでしょw。)。
そうなると、当初の株式の出資を含めた会社の立ち上げも大事だけど、その後の事業の収益性の方(ええ、ラウンドなんちゃらでの資金調達が大変とか言いながら威張っている人が多いけど、他人の資金で事業をブーストするとか言いつつミルク補給するとか、個人的には知った話じゃないw)がもっと大事、ってことになるわけですが、さぁ、これから立ち上げてビジネスしよう、というこの会社、これから日本に入ってこようか、といういわば、日本で知っているのは一部の特殊な事情な方達だけ、あとの大多数の皆様とは初めまして、になるような会社です。まずはその存在とサービス内容を知って頂かねばならないのですが、会社そのものの存在はさておき、ファンドアドミなんて言葉とかファンドの事務を専門に行う会社なんてものは、ファンドをやっている人の一部くらいしかあまり知られていないし、内容も一つ間違えたら「ただの事務屋」とか「業者」程度に思われてその裏側のプロフェッショナリズムについて結構軽視されるものでもあるので、この辺りをちょっと考えた認知をしてもらう工夫が必要になります。
と言って、個別に知っている方や紹介してもらう方にお時間を頂いて面談をして頂いてどれだけこのビジネスについて暑苦しく語るか、と言うのも一案(で、ご存知の通り、そうしているわけ)ですが、それではただの「俺って最高」って言い歩いているどこぞ(っているの?ってよく聞かれますが、まぁ、国内外問わず、運用業界にいると、割とすぐそばにいるんですよ、believe me, I am super っていう奴が。。。) の運用会社の営業と変わらないのでこれはまずい。そこで、ファンドの世界に足りてないものってなんだろう、と考えました。ざっと言えば横のつながりと問題解決の提供、ですね(まぁ、人手が足りてない、デジタル化が進んでいない、とか色々と他にもありますが、それはそんなことを喋ったセミナーも呼んでいただきましたが、このトピックはまた別の機会にでも)。そこで、過去20年近くこの業界にいて自分でイニシアチブを取ってやれてなかった、定期的なセミナー(ネットワーキングイベントという名のただ単に飲んで食べて喋るだけの飲み会、ではないですよ)の開催をやってみたらどうだろうと思ったのです。
で、2024年の10 月にJapan Week にあいのりする形で協賛いただける会社さんたちと初の試みを行ったわけですが、これもこれで良かったし、これくらいの規模のものは色々と学びも多いので、年に一回くらいはやりたいです(一緒にやりませんか?)が、どうしても百花騒乱になってしまう(というか、大勢の方に集まっていただく以上、寝ないようにするためにそうしている)ので、もっと参加者の「そのことをガッツリと知りたいし、なんなら困っている」ってところに絞ったフォーカスグループに向けたものをやってみたらどうだろう、と考えていたのです。ほら、定期的、と言って一年に一回だと忘れられそうですから(笑)
ってことで、この11月に私の旧知の知り合いが日本に来る、というので彼の得意分野を軸にしたものをセミナーでやったら彼にも一気に人を紹介できるし、彼にかこつけて一度一緒に仕事をしてみたかった国内きってのプロフェッショナルと組むいい機会だし、ということでやりました。
名付けて “Tax, Tax, Tax! “
お陰様で、こんなマニアックなネタにご参加いただく方も一定数居て、その人たちにもご満足いただけるようなセミナーが出来たのですけど、改めて思うのは、この税金って話は、手続論が非常に大事で、ある意味予防的なところに目が行きがちですが、もっともインパクトがあるのは投資家にもGPスポンサーにも取り扱いを失敗すると多大な経済的なダメージ、という投資の目的の一つであるリターンに直結するものですので、本当に頭の痛い話です。でも、あちこちで書いたりしゃべっていますが、案外日本の人たちって税金の話ってどういうわけか後回しなんですよね。。。
ファンドにおける税務を軽視すると。。。
さて、そんな税金、投資信託だったら投資信託用の信託口座なのだからそこで資産の売り買いをしてもキャピタルゲイン課税はないのだから考えなくていいじゃないか、とか、プライベート・エクイティとかでも組合なのだからパススルー税制の適用でファンドでは課税されないのだから税金って考える必要あるの?くらいにわかった風にいう方が。。。まぁ、頭のいいと呼ばれる業界の人の半分くらい?甘いんだよね、その発言。
投資信託は、証券投資信託に対する税制適用があって初めてこれが成立するのであって、投資信託ならなんでもキャピタルゲイン課税されないわけではない。言い換えると、株式市場が急落することが予見できる、とか、債券市場での信用不安があるので、などの理由で証券を売却して現金に逃げるって頭の良さそうなアイデアに見えるのですが、その結果信託資産の50%以上が証券でなくなった瞬間にこの税制適用がなくなって信託に法人課税がされる、要は信託勘定を一つの法人とみなして法人所得税などの申告対象にされてしまう、のです。ということは、キャピタルゲイン課税がされるという意味ですから、信託銀行では高度にシステム化されたオペレーションが出来なくなって手計算の処理に移行する上に、今まで想定しなかった納税申告の対応に追われる上に、NAVの計算の時には法人課税の影響まで入れて計算しなければいけないわ、もっと困ったことに投資家さんもリターンが下がるわで、どこかの頭のいいとされる誰かさんの最高なアイデアのせいで税務スキームが簡単に壊れてオペレーションはもとより投資スキームすらおかしくなる、という悲劇が起きるわけです。
組合型のスキームも、納税行為がないよね、って思われているけど、組合の組成やそこからの投資の際に、たとえば弁護士先生とお仕事をすれば、弁護士先生から請求が組合にくるわけですが、日本において士業の方の請求書というのは先生方の所得税の一環で源泉徴収義務がついて回ってくるのって、弁護士の方と働いたことのある方ならよく知られた話。じゃあ、これをパススルーで裏側の投資家に割り振って源泉徴収の納付をしてね、なんて、非効率で投資家に一手間を求めるようなことは通常しなくて、組合から納付できるようにしておく必要が実はあるって、実務を知らないとやらないちょっと面倒な話があるんですよ。そのために、組合を設立したら税務署に、会社を作った直後に届け出るのと同じように、給与支払事務所設立届を(組合に従業員がいないにも関わらず)提出して整理番号というのを付与してもらい、報酬を支払うタイミングに納付してもいいし、ご丁寧に(でも、セオリーだけど)設立のタイミングで支払猶予の特例の適用届を出すことで6ヶ月に一回まとめて納付する、なんてことをすることになるのです。
当然、これをやらないと源泉徴収の未納ってことで怒られて遅延税とかあれこれ後から組合から支払うことになるので投資家さんの負担だって余計なものが発生するわけですから軽視できないですよね。ね?こんなビジネスリスクを考えたら、組合に税金が関係ないなんてこれでも言えるのかしら?
ということで、税務含めた法制度を理解した上で方法論を固めて実務を遂行するってことがいかに大事か、まずはご理解いただけたらと思います。
よくいう恒久的施設問題とその税務上の影響
さて、やっとこれで本題、というと、やっとかよ、と怒られそうですが、税金のリスクってのはこんなに躓きやすい、って言うだけ言っても全然足りないくらい、本当に高いってことにまず理解をしてもらう必要がある、それくらい日本では軽視される傾向にあるので、書いているわけですが、この恒久的施設、英語で言ったら permanent establishmentなので、PE問題、というとなんとなく格好がいいので語りたくなる頭のいい人も一定数いるし、ここでも過去の説明をしているのですが、そうするとついぞ答えだけ求めがちなので、この本質的な問題に立ち返ってみたいと思います。なぜって?この問題への対応をミスるととんでもないオチが待っている、ってことを説明したいからですよ。
まず、税金って要は税務当局がその課税権を有する対象に対してその国の課税ルールを適用して徴収するものです。とすると、税金を払いたくない人たちは、まず課税権の届かないところ、要はその国の法律の及ばないところに行けば課税権が及ばないので課税されない、という理屈で動くわけです。
日本にいる Aさんと同じく日本にいるBさんとの間で日本のXという会社の株式を売買したとします。そうすると、上場株式ならば証券会社に開設されたAさんの証券口座から取引所を経由してBさんの証券口座に引き渡されて、反対方向に決済代金が移動しますから。。。証券会社が特定口座として源泉徴収として処理したり(年末調整までしてくれるし)、それがなくても、Aさんが国内の所得ということで確定申告や法人税の申告をするなどして申告・報告して納税することになります。もし未上場企業の株式であっても、Aさんには日本における所得税法に従って所得の申告・納税義務があるのでそれに基づいたキャピタルゲインに対する課税が行われることになります。
ということは、これって日本にいるからAさんに課税権が当然に及ぶから申告納税義務が生じているわけです。超あたり前ですね。
では、海外のCさんと別の海外のDさんとで売り買いをしたとします。その売買を海外で行ったとしたら、当然国内でそんなことが起きたことを知ることができるのはXの株主名簿の変更があったことを知らされた時、しかないので分かり得ないので課税できない、わけです。そもそもCさんもDさんも日本の外にいますからあえて自分から日本で課税申告なんてしませんし。ってのはまぁ、なんとなく、そうよね、って感じになりますし、その延長で、非居住者に対する日本の株式からのキャピタルゲインへの課税がない、のは課税権が及ばないから、というのがイメージできます。
で、黒歴史の話でも
でも、その結果として、破綻した銀行を国民の血と汗と涙の結晶である(と、まぁ、票田に向かって代議士先生は言うし、国税だって大事な税金をお預かりする、と言うときに、そう言う表現をして恭しくポケットに手をのばす)税を使って復活させたのに、その後の支援を海外のファンドがやったが為に、その株の譲渡への課税権が及ばない海外で行われたことでキャピタルゲイン課税が出来なかったから、その回収ができないではないか、と大騒ぎになったのが2000年代の冒頭の頃、私も当時いた某新生銀行ってところの再生をめぐる話で持ち上がったのです。
それを受けて、ざっくり言えば25%以上の株式を保有する非居住者に対して売却益(上記でいうところのキャピタルゲイン)に課税する、という法律が通ってしまったのです。通常、25%以上株式を保有するって、経営の支配権を有したい場合くらいですから、まぁ、海外から進出してきた企業の日本子会社とか、複数の企業でのジョイントベンチャー、そして、バイアウトやベンチャーキャピタルファンドが適用されることになります。まぁ、事業進出したい、それを単独では出来ないからジョイントで、までは、まぁ、長期保有も期待できるしそうそう売らないし、ってことでそんなに問題はなかった(?)のですが、(当時は国内のバイアウトファンドで海外投資家を誘致するところって今ほどは多くなかったので、大抵は)海外の(ということはそこそこに大型の)バイアウトで日本に投資する戦略を採用していたファンドにしてみれば、経営権を当然に取るわけですから25%以上なんて当然保有するわけですから、それを売却する際に課税されるってリターンが下がるので魅力的ではない、ということでこぞって日本から撤退したのです。
この課税ルールは海外では Shinsei Taxと呼ばれるくらい有名なものになり、そこから国内のバイアウトの人たちが国内の投資家さんとバイアウトの戦略を採用して投資・回収して、投資家さんのところで納税をする、ということにとどまる事になったのです。
おかげで、国内のプレーヤーと資金だけでバイアウト戦略を通じたM&Aから、事業承継やカーブアウト、不採算事業の清算などなどの未上場企業をめぐる様々な変化が起きたわけですが、他方で国内特化になったことで、当然に海外からの資金や投資家の目がないわけですので、資金流入がないがためにファンドサイズが小さくまとまっちゃうから超大型案件が出来ない、とか、海外スタンダードの企業統制ってどこいった?とか、弊害も起きた訳です。
まぁ、そんなことは税金を徴収する側からすれば知ったことではないのかも知れませんし、先の法律を考えて議議員立法で通した代議士先生からすれば、外圧から日本を守ったくらいにしか思っておらず、海外から取り残された事実には想像もしなかったでしょうし、現実に目を向けられないのかも知れません。
それを回避するための特例
と言うことで、私がお手伝いしている AIMAとか様々な業界団体や関連省庁が国税庁に辛抱強く、これを改善しないと長期的な意味で投資業界が成長しないし、ひいては投資される日本の企業がより大きな資金調達にアクセスできなくて困る、という説明したのかどうかは交渉に当たった方達にお任せするとして、そう言う方達のおかげでこの Shinsei Taxがもう少し使いやすくなり、その後に投資家サイドの外形的な対応ではなくて本質論を見るような形に修正が入って今の状態になった、と言う歴史的な経緯があるので、現在は、海外の投資家を日本国内のバイアウトやベンチャーキャピタルファンドが受け入れるに当たって、メインストリームとして、海外のフォーマット同様に(と言うことは海外投資家の大多数がそれに無条件に納得する)、ケイマン諸島籍のLPSを経由して投資する、と言う形に落ち着いたのです。
で、これがどう言うのものか、というと、25%/5%ルールとして知られるものでして、以前書いてものもあるので、そちらも参照してもらうのもありですが、改めてガッツリ説明するならば、とある非居住者が
とあるファンドにおいて、
- 有限責任組合員であり
- そのファンドやその他のファンドなどを通じて日本国内に恒久的施設を有することがなく、また、
- そのファンドにおいて資産の取得・保有・売却に関する判断権限を有さず、かつその判断権限を有するものと資本や人的に関係を有さず
- そのファンドの出資割合が25%未満
の場合(「特定外国組合員」に当たることになるそうです。)、その特定外国組合員としての特例適用申告書を提出をすることで非居住者扱いとして、利益の分配に対する源泉徴収が不要となり、また、その利益の申告納税も不要となります。
その上で、
原則として、一定期間に国内企業の発行する株式を25%以上有して5%以上譲渡した場合には日本に税務申告義務を有する、という「事業譲渡類似株式等の譲渡益課税」に対して、
そのファンドが組合形式での投資によるもので(なので、日本人がどう言うわけか大好きなunit trustを使った和製ヘッジファンドのフォーマットでは適用不可です)、
投資対象の発行体が一定の破綻金融機関ではなく
その株式について(なので、不動産とか貸付には適用不可)
1年以上保有したものについて
上記の特定外国組合員がその組合を通じて行う株式譲渡について
は、組合合算しないで投資家単位での「事業譲渡類似株式等の譲渡益課税」の判断をする
ことの適用の求める届出が必要になる、のです。
ということなので、その結果、日本に拠点を有さない非居住者組合員投資家が、直接及び間接の保有の合計が25%未満になるように出資比率を調整すれば、その投資家さんがポートフォリオに入っている株式の売却前に国税に対して届け出る(というか、最近だとサインも印鑑も不要なので、GPが取引前に投資家名義で書類を作成して提出しちゃうのが現実だと思いますが)ことで、これに基づく課税がその海外投資家については回避されて、組合で源泉徴収して納付するなんて手間もなくなることになるのです。
ちなみに、フィーダーファンドからの投資のように、このファンドのために組成した組合だと、組合員として25%以上は平気で持つことになりますが、そう言う場合に、直接が特定外国組合員でないからと言って直ちに組合合算適用か、というとそうでもなくて、国内に恒久的施設を有さない有限責任組合員で過去3年にわたってずっと投資判断権限を有さない有限責任組合員であり続け、その3年前からその組合員レベルで株式の保有比率が25%未満であり続けた場合にも、投資家単位での適用を求めることが可能になります。
ですので、よくパラレルスキームで、3つのLPSを作ってそれぞれが発行株式の25%を超えないようにするのですが、これって組合合算の頃の事業譲渡疑似株式等の譲渡益課税の考えから来ているんですよねぇ。ええ、発明したって主張している人もよく存じ上げております。
とはいえです。もし、とある海外投資家からのファンド全体における出資比率が40%だとした時(って、まぁ、かなり突っ込んでくれている状態ですよね。普通の投資家の投資行動では、こんなにメジャーなポジションを取らないから、まぁ、ない話、でもありますが。。。)、2つに分けて20%ごとにするからオッケー、ってまぁならないのです。
これって平成17年の最初の改正の時に組合単位で海外投資家を一まとめに見る、ということをしたからなのですが、平成21年にあった2回目の改正があって、上記の後段の届出の仕組みが出来たことで組合の裏側の投資家ごとに判定出来る、と変わったことで、ある意味そういう穴を埋めに行ったのですよね。とはいえ、仮に上記のようなことをしたらそもそもそれぞれのLPSにおいて普通に25%以上は保有する(保有比率24%のLPSを3つ作るとして、間接的に20%ずつ保有しようとしたら。。。20/24 = 5/6ってことだから 83%ずつ出資することになる)ので、特定投資家になれないんですよねぇ。まぁ、そうなるとあえて組合合算を狙うことになるわけですが。。。まぁ、そもそも投資家からの出資の割合をあらかじめ調整できるように募集してください(笑)
なお、ざらっと流れで書いてしまったのですが、法的な構成で考えると、実は国税庁のホームページをちゃんと読むと見えてきます。ホームページ上、これに関する申告用紙は3つあります。
それぞれリンクを貼りますが
一つは、特定外国組合員としての申告(投資組合契約の外国組合員に対する課税の特例に関する(変更)申告及び更新申告)
続いて、 「外国組合員の課税所得の特例に関する届出」と「外国組合員の課税所得の特例の適用に関する届出」
なのですが、その違いをわかるでしょうか。
最初の一つは、特定外国組合員としての申告ですが、「この投資組合契約に基づいて恒久的施設を通じて事業を行う者が有する恒久的施設帰属所得について所得税を課さない特例の適用を受けるために行う手続」なので、源泉所得税が掛からないようにするものです。
それに対して、後者の二つは、それぞれ「譲渡所得税」と「法人税」に対する課税所得の特例を求めるもの、なのです。言い換えると、特定外国組合員としての申告をして逃げおおせるか、それがダメだったので申告課税を特例にて回避するか、と2段階での救済措置と言うことなのです。
で、まぁ、時々これを受けて国内スキームに海外投資家が出資した場合、国内スキーム自体がその投資家にとって恒久的施設になるから課税される?と聞かれるのですが、一応、国内スキームに非居住者が出資しても、上記の特例の適用がされるならば届け出ることで回避出来る、ことにはなっていますので、海外籍、国内籍問わず、ではあるのです(が、これだけを理由にして国内スキームにするってのは、FATCA/CRS対応を日本でする、という実務実績の少ないケースに突っ込む、とか、日本語で書かれた日本の法制度に基づく契約書に日本語の読めない投資家にサインさせる、クロスボーダーリスクを投資家に全部取らせる、など、あまり海外では一般的にやらないことなので、受け入れる投資家が果たしているか、とか、いたとしてそれが一般的でメインストリームの投資家ということは絶対ないので、まぁ、より大きい投資家にアクセスしたいならお勧めしません)。
失敗するとどうなっちゃうの?
さて、この対応を失敗するとどうなるの?まあ、投資家が課税される「だけ」って思いがち、ですが、その課税(源泉徴収なの?申告課税なの?)とか納税とか、実際のところ面倒です。
現実問題として、経験上、この適用の出来なかった案件というのがあったのですが、多分これと同じことになるのでご紹介したいと思います。
とある案件でケイマン諸島籍のLPS形態のファンドとして、別のファンドを経由して株式一銘柄への投資をしたら全部で発行株式の40%の持分を有することになった、というケースがあったのです。と言うことは、特定外国組合員では回避できず、とはいえ、それぞれのLP投資家さんたちの持分は40% x 投資家持分、ということで、25%未満に収まったので有限責任組合員である投資家全部はなんとかこの特例適用ができたのでなんとかなったのですが、できないケースというのが一つだけあったのです。それが、無限責任組合員の持分だったのです。
整理するならば、株式を直接保有したファンドから見るとこちらのファンド自体で40%も持っていたので特定外国組合員として見られませんから組合合算の対象となる一方で、その先のファンドとしては、有限責任組合員は特例適用がされたものの、そもそも無限責任組合員は適用にならないので、株式譲渡の課税がされる、という判断をされたのです。
その結果、なのですが、無限責任組合員はケイマン諸島籍のSPCだったので、日本における外国会社登録を税務署に行い、また、非居住者なので日本に登記状の所在地も連絡先がない、ということで国内に納税代理人を任命する必要があるので、当時いた会社がなり(ということは、もしこの外国会社が逃げたら代わりに申告と納税に関する責任を負わねばならない、というリスクを負うんですね。見ず知らずの人の保証人になったらダメってよくおばあちゃんに言われるアレと同じですね)、そのSPCである無限責任組合員の国内における所得に関する法人所得税申告を(普通の国内の企業と同様に)して、納税する、ということをしたのです。
ということは、この株式譲渡とその費用の無限責任組合員への配分から財務諸表と損益計算書を作り、それを元に申告書を作成(まぁ、そこは相談した税理士先生にお願いしましたが。。。)、それに基づく納税もするのですが、ケイマン諸島籍のファンドですので、日本に納税が出来る唯一の方法である、日本に銀行口座を有することなんて当然なく、ということは一旦立て替えて、GPの資金から回収、なんて手間も細かいことですが発生するのです。
もちろん、これが一通り終わると、2度と日本で納税申告なんてしませんから、外国会社登録の抹消と納税代理人の解除をするのです。たかだか一回の課税申告と納税のためだけに。
さて、まぁ、これは実際に起こり得る(まぁこの話は、FoFでの投資をしていて、とあるファンドでマジョリティを取りに行くとGPが課税される、とまとめられるので、あり得るけど普通は回避するよねってことだとは思いますが。。。)ケースの話ですが、どうも20年前、要はこのPE問題の整理がまだできなかった頃、とあるファンドさんと国税庁との間で裁判になるというところまで行ったそうです。その際には、国税庁は海外の組合型ファンドそのものに対して納税義務がある、としたそうですが、当然そのファンドのスポンサーは不服として、数年かけた裁判になったそうです。ある意味、そこで課税権がある、とまでなっていたら日本への未上場投資投資はどうなっていたことやら。。。
結論:税金対応はこれだけではないけど、これ一つとっても丁寧な対応が必要で
ちなみに、前述の裁判以降、表立ってこのPE問題についての裁判等が知られていませんので、国税サイドはここについて何かを狙いに行っている様子はない、と言う観測がされているようですが、だからと言ってここをおざなりにして踏み込まれるような状態でやっていい、と言う意味では全くありません。
例えば、海外LPSとその損益分配の課税についてはデラウェア州LPSを通じた米国不動産から生じる減価償却をどう取り扱うのか、をデラウェア州LPSの法人性から問う裁判なんかも昔ありました。これは税制改正前の解釈についての議論なので今の環境下に影響しないとはされていますが、その判断ロジックが前例となってその後の別の資産クラスの時の判断にも影響しますので注意は必要です。
まぁ、こういったタックスストラクチャーが法務ストラクチャーを構成し、運用上のプロセスも構築しますので、投資信託や国内投資家向けヘッジファンドのような「枯れた」ストラクチャーが存在しないプライベート資産では一つ一つの個別性がどうしても存在する以上、どこまでが世の中の一般で使える話か、どこからが案件特有の事情のための取り扱いか、の線引きをする必要が常にあることを頭に入れておかないといけませんね。
この数年、あちこちで書いていますが、ストラクチャリングする際には税務のプロと最初に検討を行う。コストがかかるからいやだって?そのコストをケチった結果、その数十倍のコストを投資家に払わせてもいいなら止めませんが、それは金融ビジネスとしてファンドの運用者が最後の砦とするフィデューシャリー・デューティーに悖る以外のナニモノでもないのです。

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