東京都がそのお知らせとか新着情報に載せずにある意味こっそりと開催した、Tokyo Asset Management Forum。ご存知の方も多いかと思いますが、筆者の最近の仕事の多くがあけぼの投資顧問でのwebmaster 兼総務労務人事経理といった雑務一般、ということもあり、後述の理由にて参加させていただきました。
実は書きかけの記事があれこれあるものの、このブログでの東京版EMPの記事がよく纏まっているので人に紹介しているんです、なんて今日とある方に言われたことから、光栄に思いつつもそうなると結構読まれているんだな、と思い、言葉遣いに気をつけ。。。る必要もないですよね(笑)前回同様、率直なまとめを踏まえつつ、またたまたま執筆する数日前の AIMA の日本支部の定例会で共有されたちょっと驚く話も交えて、たまには旬なタイミングで書いてみようかな、と思った次第です。
Tokyo Asset Management Forumとは?
引用しております告知ページにもありますように
東京都では、昨年11月に、「国際金融都市・東京」構想を公表いたしました。
今般、本構想において取組の一つとして掲げている新興資産運用業者育成プログラム(EMP)※等の導入促進に向け、EMPの認知度向上を図るとともに、新興資産運用業者からのプレゼンテーション等を行うセミナーを開催することとなりましたので、下記のとおり、お知らせいたします。
※ Emerging Managers Programの略。アセットマネージャーを志す候補者を発掘して資金を提供し、若手のマネージャーの育成を支援すること
Tokyo Asset Management Forumの開催について
という趣旨で、機関投資家と報道向けをメインとしつつ、ゲートキーパーのようなアセットオーナーと投資家を結ぶ役割だったり、上記の Emerging Managerに該当するけどプログラムの最後の新興資産運用業者のプレゼンテーションに呼ばれなかった運用会社さん、など150名程度の参加があったそうです。
今年は実は2回目で1回目は昨年。その際には諸般の事情があって参加出来なかったのですが、EMPが発表される前だったことで色々と不明瞭な状況で演目が進んだのに比べて今年は既に EMPの詳細が開示され、EMP に賛同し(EMに対して投資するファンドの運営費用の一部を東京都が補助することが確定し)た「東京版EMPファンド運営事業者」も3社決定していますので、EMPファンド運用事業者の裏側にいる国内適格機関投資家だけでなく、その他の適格機関投資家に対する EM の紹介をするショーケース的意味合いも強かったと思います。
で、そのEMって誰?
前述の東京都政策企画局の Tokyo Asset Management Forum の告知ページのプログラムの最後に、「資産運用業者プレゼン」とあり、国内外の16の新興資産運用会社がプレゼンすることになっております。1時間20分に16社ですので、一社あたりの持ち時間はなんと4分。いわゆるエレベーターピッチ、エレベーターで乗り合わせた人に降りるまでの短い時間に売り込むことが出来る程度に簡潔に縮めたプレゼンを求められたのですが、時間通りに終わらす人、時間が過ぎても少しくらいは、とだらだら話す人、と色々と性格が出るようです。
余談ですが
個人的に、こういう短い時間を区切ってプレゼンをすることでスキルを磨いたり、よりインパクトのあるプレゼンをする機会を作ってみたいんですよね。ロンドンに Ignite London というイベントがあって、そこは一人の持ち時間は5分。時間が過ぎたらマイクや照明の電源が落ちて終了、という仕掛けがあるステージでのプレゼン、観客も立ってすぐそばで見る、という緊張感があるのでいつかやってみたいんですよね。こんな感じで。。。
それはさておき、今回の16社、この告知で名前を出していないので多分表に出してはいけない、ということは、日経やブルームバーグが取材に来ていたのでまずないとは思うものの、まぁ実名を一社だけ出すならば、著者の所属するあけぼの投資顧問。はい、プライベート・エクイティやベンチャーキャピタル・ファンドの持分のセカンダリー取得を戦略とするファンドを運用しております。ヘッジファンドでも伝統的資産の運用でもありません。しかも、会社のメンバーを見ると、私のほか、AIMA の日本支部の副会長の白木信一郎を始めとする、オルタナ運用業界に普通に10年以上いる人間ばかり。平均年齢とか聞いちゃいけないくらい高い(笑)オヤジベンチャーですので、「若手のマネジャー」という言葉が全く似合いません。でも、会社としてはまだ創業から3年、金融商品業法登録から2年ですから、東京版EMP の定義でいうEM にちゃんと当たります。
一応会社名は出しませんが、海外で既に USD 1bil を優に超える運用資産のある企業も数社登場しました。ついこの間ニュースで日本進出が報じられた某運用会社さんもです。当然、本社の創業は20年前、とか普通にありますが、日本拠点の設立が最近かこれから、ということで金融商品業法登録も今年、もしくはこれから、ということですので、EMP的にはEM、なのです。
と考えると、既に報じられている EMPファンド運営事業者の3社がこの16社だけから選ぶことはないものの、とはいえ、実はこの16社に代表されるような、本当に新たに企業を興した、という意味の若手の新興ファンドマネジャーから、当社のような顔ぶれだけは古いが業歴が浅いファンドマネジャー、そして、この数年内に海外から日本に拠点を作り国内の業法登録を済ませたところまで、案外選択肢は広いことが見えてきます。まぁ、これ、裏を返して読むと、本来の目的が見えてくるんですよね。。。制度設計的に野心をよく反映するように出来ているのですが、おっと誰が読んでいるかわからないからこれ以上はやめておこうか(って、これでも十分怒られるか笑)
あと、その定義をちゃんと読むとわかるのですが、知られていないことの一つに、我があけぼの投資顧問が普通にEMの顔をしてプレゼンを出来たように、EMPの制度上、採用される戦略に縛りがない、のです。新興マネジャーの育成プログラム、というとどうしてもヘッジファンド、と思いがちなのですが、実はタイミングさえ合えば(って、PE/VCにはこれが一番難しい)今年以降、立ち上がるビンテージのファンドへの投資だって期待できたはず、なのです。これはJIAMの有友氏のパネルでのプレゼンでも語られていたのですが、PE/VC界隈でのEMPの認知度の極めて低いことが見事に災いしましたが、それ以上に、EMPファンド運営事業者さんにPE/VC関連戦略がそもそも理解して選択できるのか、がもっとハードルを引き上げてしまったようにも思えます。もしこの物言いが失礼、だとしたら、ぜひ理解したことを示すべく、あけぼの投資顧問の来年のファンドへの投資をご検討ください(と、ラブコールしたりして)。
東京がそれなりに盛り上がっているところ、こんなニュースが
さて、AIMAの月例会でさらっと報告があって、みんながそれを聞いて「あーあ」と声にしてしまったニュースでも。
シンガポールの金融当局 (MAS)が、2018年11月13日にプレスリリースしたのが、USD 5 bilをシンガポール政府が投じて、既存、これから立ち上げるを問わずシンガポールにコミットするPEファンドやインフラファンドに資金供給をする、private markets program (PMP)を立ち上げた、というものです。
いつもながらシンガポールというのはその政策の方向性と手法に目を見張るものが有ります。今後伸びているくプライベート市場に、既存の企業とファンドをマッチングさせる MATCHとこのPMPを組み合わせて非上場企業の育成化と共に、資産運用業界の活性化と海外企業の誘致も行っていく、というのが見えてきます。そしてそのための資本リスクをとる、と明言しているのです。
特にこの最後の部分は、過去の新銀行東京の一件以降、議会が絶対に都としての出資を認めづらいところにある、けど補助金ならば、という選択に帰結したことを聞いているものの、これで差がつけられるなぁ、という印象はどうしてもぬぐえません。「あーあ」という声が出るのもわかっていただけたかと思います。
まとめ
ということで、東京版EMP、今後はEMが徐々に採用されていくことになるとは思います。あとは、どれだけの結果が残していけるのか、に次の道筋が決まっていくだけに、気になるところです。それ以上に、あけぼの投資顧問が採用されるのかが、個人的に気になって仕方ないのですが、スキーム上、第二種金融商品への投資そのものが許されているのか(特に国内受託者のポイントとして)など、クリアーにする機会があるのか、今後に注目です。いや、注目してください。
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