海外で、保険に入らずに病気に罹ると 費用が数百万円に達するケースも。。。

クレジットカードについてくる旅行保険があれば、自分で買う必要があるかないか?

海外で、保険に入らずに病気に罹ると 費用が数百万円に達するケースも。。。
海外で、保険に入らずに病気に罹ると
費用が数百万円に達するケースも。。。

クレジットカードの付帯サービスで一番目を引くもの、と言えばやはり旅行保険をはじめとする各種保険サービスだと思います。でも、あるとわかっているものの、海外旅行に行くときについ空港で旅行保険を買ってしまっていませんか?

それ以外にも、買い物をした時の破損や盗難保険といった知っていたら結構お得な保険も実はついていることもあるのに気付いてますか?

今回、どのくらいクレジットカードの旅行保険サービスが使えて、いくらくらいの価値があるのか、検証してみたいと思います。

まずはクレジットカードに付帯する保険について理解を深めてみましょう。

クレジットカードに付帯する保険についてはイシュアーごとにそれぞれの都合や事情があるので内容について共通に語ることが出来ませんので、一つ基準として三井住友カードさんを例にしてみたいと思います。

三井住友VISAクラシックカードの場合

まず手始めに、一般的なクラシックカードの保険の内容を見てみましょう。と言いつつもクラシックカードにも二種類あって、一方は海外旅行保険のみの「クラシック」、もう一方は国内旅行と海外旅行の両方をカバーしている「クラシックA」です。その違いのために年会費がちょっと違うこともあるので、この二つも比較してみましょう。

クラシックの場合、自動付帯する海外旅行保険の内容は次の通りです。

担保項目 保険金額
傷害死亡・後遺障害 最高2,000万円*
傷害治療費用
(1事故の限度額)
50万円*
疾病治療費用
(1疾病の限度額)
50万円*
賠償責任
(1事故の限度額)
2,000万円*
携行品損害[自己負担:1事故3,000円]
(1旅行中かつ1年間の限度額)
15万円*
救援者費用
(1年間の限度額)
100万円*

それに対して、「クラシックA」の場合、海外旅行保険の内容は次の通りです。

担保項目 保険金額
傷害死亡・後遺障害 合計 最高2,000万円
自動付帯分 300万円
利用条件分 1,700万円*
傷害治療費用
(1事故の限度額)
100万円
疾病治療費用
(1疾病の限度額)
100万円
賠償責任
(1事故の限度額)
2,500万円
携行品損害
[自己負担:1事故3,000円]
(1旅行中かつ1年間の限度額)
20万円
救援者費用
(1年間の限度額)
150万円

それぞれに対して、次のような条件が付いています。

*下記条件のいずれかを満たした場合補償されます。

  1. 日本出国前に航空機、電車、船舶、タクシー、バスといった公共交通乗用具(※1)の利用代金を当該カードで支払った場合。
  2. 日本出国前に宿泊を伴う募集型企画旅行(※2)の旅行代金を当該カードで支払った場合。
  3. 日本出国後に公共交通乗用具(※1)の利用代金をはじめて当該カードで支払った場合。
  1. ※1
  2. 航空法、鉄道事業法、海上運送法、道路運送法に基づき、それぞれの事業を行う機関によって運行される航空機、電車、船舶、バス、タクシーなどをいいます(当該旅行のために乗用するものに限ります)。
  3. ※2
  4. 旅行会社が、旅行者の募集のためにあらかじめ、旅行の目的地および日程、旅行者が提供を受けることができる運送または宿泊のサービスの内容ならびに旅行者が旅行会社に支払うべき旅行代金の額を定めた旅行に関する計画を作成し、これにより実施する旅行(旅行業法第12条の3の規定に基づく標準旅行業約款募集型企画旅行契約の部第2条第1項に規定するもの)をいいます。詳しくは旅行代理店にご確認ください。

<補償対象期間について>
自動付帯分については、旅行開始から3ヵ月間(かつ旅行期間中)が補償対象期間となります。利用条件分については、旅行出発前にご利用条件を満たした場合、旅行開始から3ヵ月間(かつ旅行期間中)が補償対象期間となり、旅行出発後にはじめてご利用条件を満たした場合については、ご利用条件を満たした以降から3ヵ月間(かつ旅行期間中)が補償対象期間となります。

 

さて、こうばさっと書かれてもちょっと理解しづらいですよね。では、FPらしくちょっと解説をしてみたいと思います。

海外旅行保険の保障内容とは、上記で言うところの「担保内容」のそれぞれについて、今回の場合には両方のカードに対して金額に差はあれど、「傷害死亡・後遺障害」、「傷害治療費用」、「疾病治療費用」、「賠償責任」、「携行品損害」そして「救援者費用」に対して、いくらを上限としてあなたが負担せねばならない費用等を保険が肩代わりするか、というものです。

ですので、例えば、旅行中に携行したデジカメ(実売価格が3万円、とします)が壊れたとして携行品損害を適用して同じものを買うには、(この携行品損害だけは自己負担を3,000円する必要があるので) 3万円から 3,000円を引いた27,000円を保険会社から支払われる、というものであって、デジカメを旅行中に壊したからといって、上限の20万円がまるまる支払われるわけではないのにご注意を。。。

ここで、幾つか気をつけないければいけない前提があります。

  1. クラシックAの場合は保険金額が下がるものの、旅行代金(飛行機代やパッケージツアーの参加代金)をクレジットカードで払わなくとも保険金が支払われるケースもありますが、一般的には旅行代金を出発までにクレジットカードで払わねば保険は適用されない、ということです。
  2. 旅行期間は旅行開始から3か月が最長になります。もし途中の移動手段のためにクレジットカードを使ったら、その時点から旅行の終了までか、3か月の先に到達する時点までが保険の適用になります。

ですので、もしクレジットカードの保険を使いたい場合には旅行代金の支払いをクレジットカードで行う、か、最悪の場合、出発の日に、家から駅までをタクシーで移動してその料金をクレジットカードで支払えば残りの旅行がすべてカバーされますので、ちょっとタクシー?と思わないで使うのも視野に入れるといいかもしれません。また、これの裏技として、90日以上旅行する人が、90日を超えてきたところで、同じ程度の保険が付帯しているカードを使って現地の公共機関の支払いをすることで、保険適用を事実上延長させる、なんて裏技を一ページを使って解説している人もいます。

三井住友VISAゴールドカードの場合

さて、年会費が10,000円に消費税、というゴールドカードですと、保障内容はどうなるのでしょうか。
担保項目 保険金額
傷害死亡・後遺障害 合計 最高5,000万円
自動付帯分 1,000万円
利用条件分 4,000万円*
傷害治療費用
(1事故の限度額)
300万円
疾病治療費用
(1疾病の限度額)
300万円
賠償責任
(1事故の限度額)
5,000万円
携行品損害
[自己負担:1事故3,000円]
(1旅行中かつ1年間の限度額)
50万円
救援者費用
(1年間の限度額)
500万円

ざっくり、保障内容は2倍から5倍、程度になっていますが、クラシックカードとの大きな違いは、クラシックAカードと同じように、事前に旅費等を当該カードで支払わなくとも傷害死亡・後遺障害以外は自動的に付帯されるというところでしょうか。また、傷害死亡・後遺障害をフルに付帯させるには前述のように旅行中の公共機関の支払いをすることで開始する、というのも、クラシックAカードと同じです。

こうみると、さすがゴールド、と言う感じですよね。さらにプラチナカードになると。。。

担保項目 保険金額
傷害死亡・後遺障害 最高10,000万円
傷害治療費用
(1事故の限度額)
500万円
疾病治療費用
(1疾病の限度額)
500万円
賠償責任
(1事故の限度額)
10,000万円
携行品損害[自己負担:1事故3,000円]
(1旅行中かつ1年間の限度額)
100万円
救援者費用
(1年間の限度額)
1,000万円

ですので、下記に触れることににある、一般的に買われる保険に比較してクレジットカード付帯の保険が弱いとされる、傷害死亡・後遺障害以外がだいぶ近くなる、というところでしょうか。

さて、そんな保険ですが、だいたいいくら位でしょう。

と言って同等の保険が探せるかというと、実は一般的に売られている保険と微妙に条件が異なることから直接比較が出来なさそうです。

例えば、損害保険という意味でいちばん気をつけておきたい、他人様への損害賠償責任について、クレジットカードの付帯保険ですと、クラシックAですら 2,500万円ですが、売られているものは1億円が一般的です。また、疾患治療もクラシックAで 100万円、救援者費用も150万円、ですが、売られているものは1,000万円が一般的です。

また、一般的に値段の開示されている保険の値段に対する旅行日数も大抵30日までで、それ以上の長期になると別途提示というのが一般的です。といって、補償額を倍にするから値段を倍にする、期間も3倍になるので3倍にすればいい、という単純計算が成り立つわけではないのですが、所謂保険比較サイトによると、

担保項目 保険金額
傷害死亡・後遺障害 最高1,000万円
傷害治療費用
(1事故の限度額)
1,000万円
疾病治療費用
(1疾病の限度額)
1,000万円
賠償責任
(1事故の限度額)
10,000万円
携行品損害[自己負担:1事故3,000円]
(1旅行中かつ1年間の限度額)
30万円
救援者費用
(1年間の限度額)
1,000万円

という担保条件の保険のうち、90日の旅行に対して、一人をカバーするもので、一番高くつくだろう旅行先であるアフリカ・中南米への旅行を対象とした保険のなかで一番安いものは、三井住友海上さんで23,820円でした(出発時点で69才以下、2016年9月30日までの出発対象)。ちなみに、三井住友カードさんの付帯保険の保障引き受け会社さんも三井住友海上さんです。

これに近い保険を海外旅行の出発ごとに付帯してくれている、と思うと太っ腹!とか思いたくなりますが、実は、被保険者の数が増えれば増えるほど一人・一旅行当たりの保険料が下がっていきますので、クレジットカードの年会費を相当下回る保険料になっている、と思ってもよいかもしれません。

では本題。クレジットカードの旅行保険があれば自分で買う必要があるの?

事実、海外で診療行為を受けるとかなりの高額になる、というのはよく知られた事実で、これが骨折などになると100万円のオーダーでの出費を求められることになります。ですので、それを考えた場合に、前述のクレジットカードに付帯する保険ですべてが賄いきれそうでしょうか。三井住友カードさんの例でかんがえると、プラチナカード以外では、普通に売られている海外旅行保険のカバー内容の方が、実は現実に起きうる事故への対応に即した内容になっていると考えられます。

でも、あなたはこうも思われるかもしれません。

クレジットカードを複数持っているのだから、それぞれの保障額を積み上げれば売られている保険と同等以上の保障額になるのでは?

三井住友海上さんのQ&A にちょうどこの複数のカード保有やカードの付帯保険に追加で保険を買った場合に対する保障の仕方についての回答がありました。

【海外旅行保険】クレジットカードに海外旅行保険がもともとセットされています。別途海外旅行保険にも入ろうと思っているのですが、万が一事故が起きた際は両方から保険金が支払われるのでしょうか?

アンサーID : 1521   |    公開 2015年06月24日 08:11 AM   |    更新 2016年08月31日 07:24 PM
1.「クレジットカードにセットされている海外旅行保険」の他に、上乗せの保険として一般の「海外旅行保険」をご契約されている場合
傷害死亡保険金、傷害後遺障害保険金については両方から保険金をお支払いいたしますが、その他の保険金(傷害治療費用、疾病治療費用、携行品損害、賠償責任等)については両方を合わせて、実際にかかった費用や損害額が、お支払いの限度となります。
2.「海外旅行保険」がセットされた複数のカードを所有されている場合
傷害死亡保険金、傷害後遺障害保険金については法人カードとその他のカード別に、それぞれのカードにセットされている海外旅行保険契約のうち最も高い金額を限度としてお支払いたします。その他の保険金(傷害治療費用、疾病治療費用、携行品損害、賠償責任等)については上記1と同様です。

言い換えると、複数カードを持っていて治療費用や携行品損害については保障額の合算のメリットがありそうですが、傷害死亡保険金や後遺傷害保険金については最高金額のものしか適用にならない、ということです。現実的に費用や器物破損などの損害賠償が起こりやすい訳ですからそちらのカバーということで複数持つことにメリットがあるのかもしれませんが、だからと言って10枚持つのも現実的ではないのかもしれません。

また、この回答から読み取れることとして、クレジットカードを保有する場合の保険を購入する、というのはクレジットカードの付帯保険サービスに対して保障を買い増す、という扱いになる、ということです。

そう考えると、ステータス狙い、という嫌らしい(笑)表現をしてきた、ブラックカードを保有するメリットとして常にスタンバイされる海外保険サービス(これと同様の国内旅行や購入商品のプロテクションサービス)を使い倒す、という現実的な経済提起メリットがあるようにも見えてきましたし、逆にゴールドカード以下の通常のカードでマイレージの積み上げを目指していくときには、最後のご褒美の海外旅行ではカードで保険を買って次の旅行の足しにする、というのが安全安心、と言うことかもしれません。

いずれにせよ、クレジットカードの付帯保険サービスの保障内容といざと言う時の連絡先は、旅行前に確認する習慣を付けておきたいですね。


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