前回の記事で、使えば使うほど(※ちゃんと期限通りに払った場合に限る)クレジットカード会社さんとの関係が良好になるのでメリットが増えていく、という話をしましたが、実際に使えば使うほどメリットがあるのは利用上限額が増えたり付帯サービスが増えるだけではありません。それ以上に使うごとに目に見えるメリットがあって、クレジットカードの攻略法というとこれを如何に効率よく集めるか、という話をしたがるものです。
それはご存知と思いますが、次の二つがあります。
- マイレージ・サービス
- ポイント
この記事では、これらのサービスについて概略をご説明して、詳細の攻略法はそれぞれの記事にてご説明することとします。
なぜ、使えば使うほどポイントとかマイレージをもらえるの?
まず不思議ですよね。ユーザーの私たちが額面通りに支払っているのにおまけがもらえるって。何か裏があるんじゃないか。どこかで私たちが存する仕掛けがあるんじゃないか、なんて思ってしまいそうですが、ちゃんとそれなりの理由がありますので安心してください。
ポイントは販売店さんからカード会社に支払われる手数料で賄われている
クレジットカードの仕組みの時にご説明したのですが、例えば私たちがカードを使って10万円の買い物をしたら、カード会社さんから販売店さんに私たちが利用した10万円を後日支払われる仕組みになっていますが、その時に、実際にはこの10万円のうち手数料を一部差し引いた額だけ支払ています。実はこの手数料がクレジットカード会社さんのクレジットカード事業での収益になるのです。
一般的には3-5% 、アマゾンさんのようにクレジットカードでの支払いが大量にある販売店さんだと1-2%、逆に夜のご商売のように一見怪しく見える販売店さんだと8-10% の手数料がかかると言われています。(ですので、そういうお店ではカードで支払おうとすると手数料も上乗せして請求されてしまうのはそういう理由なのです。)クレジットカード会社さんとしては、クレジットカードの利用が増えれば増えるほど手数料収入が増えますので、カードの利用者に対してもっと使うインセンティブを提供する、ということで、この手数料収入の一部をポイントとして還元している、のです。一般的に還元率は 0.5%程度とされていますが、カードのグレード(ゴールドやプラチナなど)やクレジットカード会社さんによって、この還元率が異なります。ですので、攻略しようとするときにはこの還元率のいいカードを使いながら、のような話にどうしても偏ってしまうのです。
マイレージはもともと航空会社が顧客を常連客を抱え込むツールだった
マイレージは飛ばしてる飛行機を有効活用したくて始まったサービスだった今では結構普通にあちこちで使われるマイレージ、ですが、これはもともとは航空会社が顧客サービスの一環として、多く飛行機を利用する人にメリットを享受してもらうことでさらに使ってもらおうと考えたサービスで、最初は、本当に飛行機に乗って旅行した距離(マイル)を積算して、一定のマイルを飛んだ人に無料の航空券をプレゼントする、というものでした。
航空会社としても閑散期に飛行機を一機飛ばしても、お客が乗っていてもいなくてもかかる費用はほぼ同じであったことから、空いている席に上顧客無料で招待しても問題がなかったのです。そのうち、このマイルをクレジットカードのポイントと相互に交換できるようにしたことから、クレジットカードのポイントの代わりにマイルを直接渡すプログラムに変わってきたのです。その結果、一度も飛行機旅行をしなくとも、たくさんの買い物をすることで旅行に行けるとあって、人気が高まったのです。一般的に還元率は 100円使うごとに 0.5-1マイルですが、これもまたカードのグレードなどによって異なります。
ポイントとマイレージ、どっちがお得なの?
当然、二つのプログラムを並べるとどちらがお得なの?と考えてしまうのは庶民的な考え方(笑)では実際にどうなのでしょう。そこで、一つのカードを例にとって考えてみます。ここでは、ポイントを貯めたところでマイレージに交換することでどちらも使える、アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラーカードで比較したいと思います。なお、このカードは年会費として10,000円に消費税が掛かります。ポイントの場合(アメリカンエキスプレスで12,000ポイントの場合)例えば、アメリカンエキスプレスだと100円で1ポイントとなっていますので、比較の都合上 12,000ポイントを貯めるためには 120万円の利用が必要になります。この12,000ポイントで商品の交換をしようとすると、だいたい5,000円程度のものと交換できますので、還元率は
5,000 / 1,210,800 x 100 = 0.413%
という計算になります。マイレージの場合(アメリカンエキスプレスとANA の組み合わせ12,000マイルの場合)他方で、アメリカンエキスプレスのスカイトラベラーカードですと、1,000ポイントでANA の1,000マイルの交換が可能となり、12,000マイルで東京羽田と大阪伊丹の間の往復が可能になります。羽田と伊丹の間の往復チケットは正規値段で 24,290円 x 2 = 48,580 円になります。ちなみに、このカードですと、年額 5,400円を支払うことで年間 80,000マイルまで交換可能ですので、還元率を計算するならば
48,580 / 1,216,200 x 100 = 3.99%
という計算になります。当然カード会社やその発行するカードの種類等によって還元率は変わってきますが、一般的にマイレージの方が高額の航空券に交換できるだけあって還元率は高めになります。
この還元率は一定なの?
この還元率は同じカードであっても同じなのでしょうか。そこで、マイレージの最も費用対効果が高いケースをもとに比較をしてみましょう。それは、東京から一番遠いヨーロッパだとロンドン、北米だとニューヨークの往復で考えてみるとします。ANA ですと、オンラインで買える正規価格(変更可能な Basic Plus前提)がロンドン往復だと443,120円に対してマイレージだとハイシーズンで 60,000マイル、ニューヨーク往復だと389,660円に対して 55,000マイルがそれぞれ必要になります。
マイレージの場合(アメリカンエキスプレスとANA の組み合わせの例)
アメリカンエキスプレスのスカイトラベラーカードですと、1,000ポイントでANA の1,000マイルの交換が可能でしたので、ロンドンの場合 60,000マイルが必要でしたので、600万円の利用が必要になります。東京とロンドンの往復チケットは正規値段で 443,120円。ちなみに、このカードですと、年額 5,400円を支払うことで年間 80,000マイルまで交換可能ですので、還元率を計算するならば
443,120 / 6,016,200 x 100 = 7.37%
という計算になります。同様に東京とニューヨークの往復で計算すると
389,660 / 5,516,200 x 100 = 7.06%
となります。
ポイントの場合(アメリカンエキスプレスの例)
これに対して、アメリカンエキスプレスでニューヨーク往復と同等の 55,000 ポイントで商品の交換をしようとすると、だいたい20,000円程度のものと交換できますので、還元率は
20,000 / 5,510,800 x 100 = 0.363%
という計算になります。また、ロンドン往復の60,000ポイントでもやはり 20,000円程度のものとの交換ですので、さらに還元率が悪くなって
20,000 / 6,010,800 x 100 = 0.333%
となります。こうしてみると、マイレージは長距離になればなるほどお得で、ポイントの場合はポイントが高ければ高いほど割高感が強くなるようです。なお、本来であれば、これらの計算にクレジットカードの年会費も入れて考慮すべきかもしれませんが今回は入れていません。従って、そこまで考慮すると全体的にもっと還元率が下がると思っても良いでしょう。
そこで、今後の個別のカードのメリットを比較する上でポイントになるこの還元率については 12,000ポイント / 12,000 マイル = 48,580円の国内旅行前提と、60,000ポイント / 60,000マイル = 443,120円の海外旅行前提の二つで比較していこうと思います。
ところで、ポイントってそんなに使えないの?
上記の比較だけを見るとどう見てもポイントを選ぶことは経済的合理性に欠けることと思えてきます。でも、果たしてそうなのでしょうか。
旅行に行かない私には航空券は不要
そうですよねぇ。高所恐怖症とか閉所恐怖症の人にとって飛行機旅行は極力避けたいもの。そうなるとマイレージで航空券をもらいたくはないですよね。。。ポイントを現金代わりに使えるクレジットカード会社さんによっては、支払いの一部をポイントで充当できるところや商品券でもらえるところがあります。そうすれば自分名義なので金券ショップで売ることのできない航空券より、多少割高でも利用の時の自由度が高い方が好ましい、という選択をすることも合理性がありそうですよね。
ポイントを他のポイント制度に移行させることも可能有名どころではG Point や ECナビ、Pex のようにTポイントや楽天スーパーポイントのようなショッピングで付与されるポイントと相互に交換出来るようになってきています。そうすると、マイレージよりもショッピングポイントに交換してできるだけひとまとめにできる、というメリットがあります。まとめポイントとマイレージサービスのメリットデメリットを見てきましたが、どちらがよりあなたの生活にとって良かったのでしょうか。最終的に選ぶ判断規準は自分の生活にどれだけ役立ちそうか、という点につきそうですね。で、どちらにしますか?
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