つい最近まで、拡大少人数私募のプロ投資家の人数制限が250人のままだった、と思い込んでいました(苦笑)多分2007年以降にちゃんと拡大少人数私募を立ち上げていた人ならば、突っ込むところがあれこれある知識だと言わざるを得ないのですが、考えてみれば 2007年以降は公募ファンドにしか縁がなかったなぁ、と思うとこんなことになるんですねぇ。ということで、各国の規制、法制度は日々変わっていくのはケイマンとかジャージーを見ているとよくわかるのですが、まさか日本で。。。ということがあったので、物知り顔でちょっとこのあたりの整理をしてみたいと思います。実際、周りのプロな人たちもこのあたりの話が微妙だったことがちらちら見られたので。。。
本来の私募の定義とは
そもそも、拡大少人数私募、って書きましたけど、それってなあに、から始めた方がよさそうですね。とはいえ、「拡大」って言葉がついているので、そもそも拡大されていない「少人数私募」から言えば、49名までに有価証券の募集が可能となる、日本国内での募集方法のこと、というのがざっくりとした説明になるかと思います(法律に即した表現は後半で。。。)。
よく縁故債とか言われますが、例えば身内だけでお金を集めてビジネスをやろう、というときに、その資金調達方法に上場株式や公募投信のような高度な規制と要件を求めると無駄な時間と労力がかかりますし、投資先の内容とかリスクとか(リスクは微妙か。。。)は分かっているよね?身内とか近しい人とか、少人数だから別途膝を交えて話してるよね?という前提のもとで、募集のための法的要請を減らしましょう、という制度が「私募」の中でも「少人数私募」の意図するところ、のようです。
気づいたら2007年までの世界では
で、これを「拡大」しよう、というのは、投資を生業としているような人と、普通の人とを分けて考えたときに、普通な人はもし何かあった時の影響を49人に留められるならば良しとするけれども、投資を生業としている人ならば、リスクとかよく理解できるわけだから公募投信ほどの保護をする必要もないので、普通な人を横において、それなりの人数まで投資できるようにしてあげるのもいいのでは、と考えたと思われる結果、投資を生業としている「適格機関投資家」は 250人まで、普通な人、言い換えると「適格機関投資家ではない人」は 49人まで、それぞれ投資できるように「少人数私募」を「拡大」しよう、としたのが、この「拡大少人数私募」という制度「でした」。
そうなんで、調べたら「でした」になっていたのです。しかもなんと2007年に証券取引法が金融商品取引法に変更されたタイミングで。。。
今時の世界では
では、今現在、金融商品取引法上はどうなっているか、というと、該当する第2条3項を丸ごと引用するならば。。。
3 この法律において、「有価証券の募集」とは、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘(これに類するものとして内閣府令で定めるもの(次項において「取得勧誘類似行為」という。)を含む。以下「取得勧誘」という。)のうち、当該取得勧誘が第一項に掲げる有価証券又は前項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利若しくは特定電子記録債権(次項及び第六項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第一項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第一号及び第二号に掲げる場合、当該取得勧誘が前項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(次項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第二項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第三号に掲げる場合に該当するものをいい、「有価証券の私募」とは、取得勧誘であつて有価証券の募集に該当しないものをいう。
一 多数の者(適格機関投資家(有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が含まれる場合であつて、当該有価証券がその取得者である適格機関投資家から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)を相手方として行う場合として政令で定める場合(特定投資家のみを相手方とする場合を除く。)
二 前号に掲げる場合のほか、次に掲げる場合のいずれにも該当しない場合
イ 適格機関投資家のみを相手方として行う場合であつて、当該有価証券がその取得者から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
ロ 特定投資家のみを相手方として行う場合であつて、次に掲げる要件のすべてに該当するとき(イに掲げる場合を除く。)。
(1) 当該取得勧誘の相手方が国、日本銀行及び適格機関投資家以外の者である場合にあつては、金融商品取引業者等(第三十四条に規定する金融商品取引業者等をいう。次項、第四条第一項第四号及び第三項、第二十七条の三十二の二並びに第二十七条の三十四の二において同じ。)が顧客からの委託により又は自己のために当該取得勧誘を行うこと。
(2) 当該有価証券がその取得者から特定投資家等(特定投資家又は非居住者(外国為替及び外国貿易法 (昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいい、政令で定める者に限る。)をいう。以下同じ。)以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当すること。
ハ 前号に掲げる場合並びにイ及びロに掲げる場合以外の場合(当該有価証券と種類を同じくする有価証券の発行及び勧誘の状況等を勘案して政令で定める要件に該当する場合を除く。)であつて、当該有価証券が多数の者に所有されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
三 その取得勧誘に応じることにより相当程度多数の者が当該取得勧誘に係る有価証券を所有することとなる場合として政令で定める場合
普通は、なんのこっちゃ、ですよね。特に金融商品取引法はいろいろなことの積み上げで出来ているので仕方ないと言えば仕方ない、ですが。。。でも、読み解かないといけないので、やりましょう。
条文を読み解いていく
まず、最初。のっけから長いですが、バラしながら読むと。。。
「有価証券の募集」とは、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘(これに類するものとして内閣府令で定めるもの(次項において「取得勧誘類似行為」という。)を含む。以下「取得勧誘」という。)のうち、
- 当該取得勧誘が第一項に掲げる有価証券又は前項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利若しくは特定電子記録債権(次項及び第六項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第一項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第一号及び第二号に掲げる場合、
- 当該取得勧誘が前項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(次項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第二項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第三号に掲げる場合
に該当するものをいい、
「有価証券の私募」とは、取得勧誘であつて有価証券の募集に該当しないものをいう。
。。。とりあえず、有価証券の募集に当たらない取得勧誘行為をすると、私たちが先ほど古い考え方で検討した私募に当たる、ということがわかります。じゃあ、有価証券の募集って何よ、となるわけですが、まず
新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘
ということなので、既に発行されている有価証券の譲渡による取得(セカンダリーマーケットでの売買)は含まれない、ということですね。まぁ、ファンドの場合(例外を除くと)通常、ファンドに持ち分を新規で発行してもらうことで取得しますので、継続的に募集なり私募なりしていることになるわけです。で、そんな勧誘行為もろもろをひっくるめて「取得勧誘」と呼ぶそうですが、その中でもある条件だと、引用の後段にあった第一号と第二号に当たる場合、もう一つの条件だと第三号に当たる場合、だと募集に当たってしまう、らしい。じゃあ、それぞれの条件とは何か、というと、最初の方は
第一項に掲げる有価証券又は前項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利若しくは特定電子記録債権(次項及び第六項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第一項有価証券」という。)
と、この商売をやっている人が時々使いますね、第一項有価証券。いわゆる金融商品取引業者の中でも上場株式とか国債とか、社債とか、投信とか、リース債権流動化商品とか、あと、このあたりが、券面不発行で投資家の管理が電子化されているもの、あたりの、いわゆる流動性の高い有価証券を扱える第一種の取引業者さん達が扱えるもの、をひっくるめていうのですが、その時には第一号と第二号を参照、らしい。じゃあ、その第一号とは何か、というと
一 多数の者(適格機関投資家(有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が含まれる場合であつて、当該有価証券がその取得者である適格機関投資家から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)を相手方として行う場合として政令で定める場合(特定投資家のみを相手方とする場合を除く。)
ふむふむ。多数の者、という定義がどこかでされるのですが、それは調べるとして、その多数の者を相手方として取得勧誘する場合として「政令で定める場合」、ただし、
(適格機関投資家(有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が含まれる場合であつて、当該有価証券がその取得者である適格機関投資家から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)
ということは、多数の者に適格機関投資家はカウントしないのね。あと、
(特定投資家のみを相手方とする場合を除く。)
とあるから、特定投資家という人たちのみを相手にする場合も外れるということなのね。というのがわかります。となると、じゃあ、「多数の者」に対する取得勧誘で「政令で定める場合」を見る必要があるのですが、それぞれまた、引用するなら実は一つでまとまっていて
(金融商品取引法施行令)第一条の五法第二条第三項第一号に規定する多数の者を相手方として行う場合として政令で定める場合は、五十名以上の者を相手方として有価証券の取得勧誘を行う場合とする。
なのです。ん?50人以上?だから私募は49人まで、という数字が出てくるんですね。ということは、50人以上への取得勧誘を行う場合が募集に当たる、49人まで(ただし適格機関投資家の数は含まない)は募集ではなくて私募、というようなイメージが出てきます。ん?募集、って公募、だよね。。。でも、第二号も読まないといけない。なんだっけ。。。
二 前号に掲げる場合のほか、次に掲げる場合のいずれにも該当しない場合
イ 適格機関投資家のみを相手方として行う場合であつて、当該有価証券がその取得者から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
ロ 特定投資家のみを相手方として行う場合であつて、次に掲げる要件のすべてに該当するとき(イに掲げる場合を除く。)。
(1) 当該取得勧誘の相手方が国、日本銀行及び適格機関投資家以外の者である場合にあつては、金融商品取引業者等(第三十四条に規定する金融商品取引業者等をいう。次項、第四条第一項第四号及び第三項、第二十七条の三十二の二並びに第二十七条の三十四の二において同じ。)が顧客からの委託により又は自己のために当該取得勧誘を行うこと。
(2) 当該有価証券がその取得者から特定投資家等(特定投資家又は非居住者(外国為替及び外国貿易法 (昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいい、政令で定める者に限る。)をいう。以下同じ。)以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当すること。
ハ 前号に掲げる場合並びにイ及びロに掲げる場合以外の場合(当該有価証券と種類を同じくする有価証券の発行及び勧誘の状況等を勘案して政令で定める要件に該当する場合を除く。)であつて、当該有価証券が多数の者に所有されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
。。。長い。しかもいろいろなケースがある。。。バラすか。とりあえず、
前号に掲げる場合のほか、次に掲げる場合のいずれにも該当しない場合
いろいろなケースがあるけど、前号に該当しないで、かつそれに当たらない場合が募集で、当たっちゃうと私募になるなのね。って何があるのやら。。。まず
イ 適格機関投資家のみを相手方として行う場合であつて、当該有価証券がその取得者から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
ん?適格機関投資家にのみ相手方とするし、仮に有価証券が譲渡されるとしても適格機関投資家にのみ譲渡されるような仕組みであれば、募集/公募に該当しない、のか。って、これ、いわゆるプロ私募 (QII-only) じゃない。次は。。。
ロ 特定投資家のみを相手方として行う場合であつて、次に掲げる要件のすべてに該当するとき(イに掲げる場合を除く。)。
(1) 当該取得勧誘の相手方が国、日本銀行及び適格機関投資家以外の者である場合にあつては、金融商品取引業者等(第三十四条に規定する金融商品取引業者等をいう。次項、第四条第一項第四号及び第三項、第二十七条の三十二の二並びに第二十七条の三十四の二において同じ。)が顧客からの委託により又は自己のために当該取得勧誘を行うこと。
(2) 当該有価証券がその取得者から特定投資家等(特定投資家又は非居住者(外国為替及び外国貿易法 (昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいい、政令で定める者に限る。)をいう。以下同じ。)以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当すること。
って、そもそも、特定投資家って、さっきから出てきてるけど、なんだっけ。。。また引用すると結構面倒なので、金融庁のホームページでまとめたものがあるから見ていただきたいのですが。。。適格機関投資家のようなプロから個人でもかなりの金融資産と証券投資の経験の多い人から、結構幅が広い人を対象にしてますね。で、そんな、ある意味裾野の広い「プロ」達の間でだけ流通するような仕組みがあって、かつ一般投資家(アマチュア)になりたくてもなれない人以外に対する取得勧誘行為が証券会社の立場で言うなら相手からのリクエストによるものもしくは「自己のために取得勧誘を行う」って自社の証券の勧誘の場合ということ、なんでしょうねぇ、という条件を満たすと、これも募集/公募に該当しないのか。適格機関投資家の場合に比べてちょっと制限がありますよねぇ。
なんて、思っていたら、実は、この特定投資家向けですが、参照条文等の詳細をちょっと割愛するのですが、投資家への告知義務が金融商品取引法とそれが参照する特定有価証券開示府令、そして、それがさらに参照する金商法の発行体情報の提供と公示のルールを決めていて、って、実はその決めているのが「証券情報等の提供または公示に関する内閣府令」にさらに参照が飛んで、結果、何を言っているかというと、東京証券取引所のプロ向け市場(旧 Tokyo AIM / 現 Tokyo PRO Market)に上場しているものだけが該当する、という仕組みになっているのです。ということは。。。特定投資家向け私募の仕組みってのはこのプロ向け市場のためだけにある、ということなのですねぇ。
ということで、あと一つ、条件が残ってましたね。
ハ 前号に掲げる場合並びにイ及びロに掲げる場合以外の場合(当該有価証券と種類を同じくする有価証券の発行及び勧誘の状況等を勘案して政令で定める要件に該当する場合を除く。)であつて、当該有価証券が多数の者に所有されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
って、また政令にお伺いしなければならない。最初の政令で定める要件って何かというと、例の施行令でして。。。
第一条の六法第二条第三項第二号 ハに規定する政令で定める要件は、当該有価証券の発行される日以前六月以内に、当該有価証券と同一種類の有価証券として内閣府令で定める他の有価証券(その発行の際にその取得勧誘が同号イに掲げる場合及び第二条の十二に規定する場合に該当するものであつた有価証券並びにその発行の際にその取得勧誘が有価証券の募集に該当し、かつ、当該有価証券の募集に関し法第四条第一項 の規定による届出又は法第二十三条の八第一項(法第二十七条 において準用する場合を含む。)に規定する発行登録追補書類の提出が行われた有価証券を除く。以下この条において「同種の新規発行証券」という。)が発行されており、当該有価証券の取得勧誘を行う相手方(当該有価証券の取得勧誘を行う相手方が適格機関投資家であつて、当該有価証券が第一条の四に定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)の人数と当該六月以内に発行された同種の新規発行証券の取得勧誘を行つた相手方(当該同種の新規発行証券の取得勧誘を行つた相手方が適格機関投資家であつて、当該同種の新規発行証券が第一条の四に定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)の人数との合計が五十名以上となることとする。
長いので要約すると、新規募集のはずだけど同種の有価証券を過去6か月以内に発行していて(同種の新規発行証券って、やつね)、この過去のものと今回のものの取得勧誘相手が合計50人以上になる場合(ただし、イケメンは除く適格機関投資家は除く)、ということらしい。ということは、仮に同種の新規発行証券であっても、6か月以上間が空けば許してもらえるか、というと。。。次の政令のお言葉を聞くならば。。。(これも長いんだよねぇ。。。)
第一条の七法第二条第三項第二号 ハに規定する政令で定める場合は、次に掲げる全ての要件に該当する場合とする。
一 当該取得勧誘が特定投資家(法第二条第三十一項 に規定する特定投資家をいう。以下同じ。)のみを相手方とし、かつ、五十名以上の者(当該者が適格機関投資家であつて、当該取得勧誘に係る有価証券が第一条の四に定める場合に該当するときは、当該者を除く。)を相手方として行う場合でないこと。
二 次のイからハまでに掲げる有価証券の区分に応じ、当該イからハまでに定める要件に該当すること。
イ 株券等 次に掲げる全ての要件に該当すること。
(1) 当該株券等の発行者が、当該株券等と同一の内容(株式(優先出資法 に規定する優先出資及び資産流動化法 に規定する優先出資を含む。)若しくは出資に係る剰余金の配当、残余財産の分配、利益を用いて行う出資の消却又は優先出資法第十五条第一項 (第二号に係る部分に限る。)の規定による優先出資の消却についての内容に限る。)を表示した株券等であつて法第二十四条第一項 各号(法第二十七条 において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するものを既に発行している者でないこと。
(2) 当該株券等と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものが特定投資家向け有価証券でないこと。
ロ 新株予約権証券等 次に掲げる全ての要件に該当すること。
(1) 当該新株予約権証券等に表示された権利の行使により取得され、引き受けられ、又は転換されることとなる株券の発行者並びに当該株券、新株予約権証券及び新投資口予約権証券がそれぞれイ(1)及び(2)に掲げる要件に該当すること。
(2) 当該新株予約権証券等(新株予約権証券及び新投資口予約権証券を除く。以下ロにおいて同じ。)の発行者が、当該新株予約権証券等と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものであつて法第二十四条第一項 各号(法第二十七条 において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するものを既に発行している者でないこと。
(3) 当該新株予約権証券等と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものが特定投資家向け有価証券でないこと。
(4) 当該新株予約権証券等(当該新株予約権証券等が新優先出資引受権付特定社債券である場合であつて、特定社債券と分離して新優先出資引受権のみを譲渡することができるときは、当該特定社債券及びこれとともに発行される新優先出資引受権証券)に、内閣府令で定める方式に従い、これを取得し、又は買い付けた者(当該者が適格機関投資家であつて、当該新株予約権証券等が第一条の四に定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)が当該新株予約権証券等を一括して他の一の者に譲渡する場合以外の譲渡が禁止される旨の制限が付されていることその他これに準ずるものとして内閣府令で定める要件に該当すること。
ハ イ及びロに掲げる有価証券以外の有価証券 次に掲げる全ての要件に該当すること。
(1) 当該有価証券の発行者が、当該有価証券と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものであつて法第二十四条第一項 各号(法第二十七条 において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するものを既に発行している者でないこと。
(2) 当該有価証券と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものが特定投資家向け有価証券でないこと。
(3) ロに準じて内閣府令で定める要件に該当すること。
。。。長すぎる。。。面倒だから要約すると
- 特定投資家向けであって、かつ適格機関投資家以外の特定投資家が50人未満であること
- 株と新株予約権証券等は対象外
なので飛ばして、ハ、のそれ以外にある、投資信託とかについては、発行体が金商法第24条第1項各号に該当するものを発行していないこと、特定投資家向けでないこと、などなど、って感じで、金商法第24条第1項各号はというと
一 金融商品取引所に上場されている有価証券(特定上場有価証券を除く。)
二 流通状況が前号に掲げる有価証券に準ずるものとして政令で定める有価証券(流通状況が特定上場有価証券に準ずるものとして政令で定める有価証券を除く。)
三 その募集又は売出しにつき第四条第一項本文、第二項本文若しくは第三項本文又は第二十三条の八第一項本文若しくは第二項の規定の適用を受けた有価証券(前二号に掲げるものを除く。)
四 当該会社が発行する有価証券(株券、第二条第二項の規定により有価証券とみなされる有価証券投資事業権利等その他の政令で定める有価証券に限る。)で、当該事業年度又は当該事業年度の開始の日前四年以内に開始した事業年度のいずれかの末日におけるその所有者の数が政令で定める数以上(当該有価証券が同項の規定により有価証券とみなされる有価証券投資事業権利等である場合にあつては、当該事業年度の末日におけるその所有者の数が政令で定める数以上)であるもの(前三号に掲げるものを除く。)
なので、まぁ、上場有価証券とそれに類するもの、というイメージでしょうか。書いていてだんだん面倒なのが読み取って頂けると思うのですが。。。
ざっくり言えば、適格機関投資家向け私募、特定投資家向け私募(ただし Tokyo PRO Market だけ)、あと適格機関投資家出ない人が49人まで(適格機関投資家の数はカウントしない)私募、以外は公募になる、と思った方がよい、ということのようです。
ん?そうなると、いわゆる少人数私募と拡大少人数私募の境目がなくなり、かつ適格機関投資家の数は制限なし、ということになっていた、のですね。あら。
そうすると、適格機関投資家向け私募と、私募との違いはプロじゃない人が49人入るのかどうか、でしかない、のだから、適格機関投資家向け私募っていらないんじゃないの?という気分になりますよね。でも、ファンドの観点から言うと、残しておきたいんですよねぇ。投信法の都合上、適格機関投資家向け私募だと運用報告書の交付が不要という取り扱いが出来るので。。。
ということで、綺麗に整理がついたかな?
ん?何か一つ忘れてないか?
あ、あれだ。。。
- 当該取得勧誘が前項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(次項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第二項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第三号に掲げる場合
そう、第二項有価証券のときのお話。何が入るかというと、引用すると面倒なのでまとめると、信託受益権、合同会社の社員権(持ち分みたいなもの)、匿名組合や投資有限責任組合の投資持ち分、というところ。これらは流動性が低いので、第二種金融商品取引業者が取り扱える、という仕切りにもなっていますが、これらについては、第三号の場合、って。。。これか。
三 その取得勧誘に応じることにより相当程度多数の者が当該取得勧誘に係る有価証券を所有することとなる場合として政令で定める場合
て、また政令のお告げ。じゃあ、また施行令から引用するなら
第一条の七の二 法第二条第三項第三号 に規定する政令で定める場合は、その取得勧誘に係る有価証券を五百名以上の者が所有することとなる取得勧誘を行う場合とする。
そう、投資有限責任組合とか匿名組合だと、49人縛りじゃなくて 499人縛り。いいのか?
実際、これと、金融商品取引法第63条の適格機関投資家向け特例業務の規定を組み合わせることで、
適格機関投資家を一人入れれば、運用等のライセンスを持たなくとも匿名組合や投資有限責任組合を運用し、合計499名までの(個人)投資家を入れることが可能になる
ことになるので、詐欺行為の温床になる、と消費者団体からは突き上げをくらい、とはいえ、ベンチャーキャピタル投資業界からは、それがなくなったり個人投資家に対する保有資産等の条件がつくとベンチャーキャピタル投資をする個人投資家がいなくなるので困る、という痛しかゆしの状況が出来てしまっているのです。
ということで、いろいろとなかなか難しい話ですが、いろいろなケースを想定しながら法律を作るのも大変なんだろうなぁ、おかげで読むほうが大変なんだけど、という話の結論でしょうか。。。
コメントを残す